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人間追い込まれると、何かしら現実逃避をしたくなるものです。
子どものころは変身ヒーローものなどを見て変身願望を抱いたりしたものです。
変身して超能力を手に入れたら、体育の時間で恥をかいたり、テストでロースコアをたたき出して怒られることもない、と夢想する日々でした。
ただ、変身してカッコよくなるとは限らず、カフカの「変身」のように虫に身をやつして不遇の死を迎えることもあるので、自分が自分であることを受け入れて生きるしかないのかなあ、といまだに夢想迷路に迷い込んでおります。
本日ご紹介したいBトレインショーティーは、カフカの「変身」ではないですが、こちらの「いもむし」のご紹介です。
名古屋鉄道 3400系 復刻旧塗装 です。
「いもむし」の愛称で親しまれ、パノラマカー等と並んで名鉄の象徴的な車両の一つです。
製造年は1937年(昭和12年)と戦前生まれの車両です。
その誕生は現在の名鉄の成り立ちに関わりがあります。
名鉄は、愛知電気鉄道と名岐鉄道が合併してできた会社です。
合併した2社の路線は繋がっておらず、神宮前駅から豊橋方面に路線を伸ばす架線電圧1500Vの愛電由来の「東部線」と、旧・押切町駅から岐阜方面へ路線を伸ばす架線電圧が600Vの名岐由来の「西部線」に分かれたままの船出でした。
統合後の新生名鉄のフラグシップとなるべく製造されたのが東部線用の3400系と「なまず」の愛称で親しまれた西部線用の850系です。
どちらも当時流行した流線型を取り入れた車体となっております。
3400系は下部をスカートで覆い、車体はリベットを排し、窓枠の補強板が露出しない構造にするなど、時代背景を考えれば非常に意欲的な車両だったことが伺えます。
とても美しい車体で、戦前生まれとは思えない車両です。
東西直通運転が可能になった1948年以降に中間車両を増備し、4両編成化して以降は優等列車に充当され、長きにわたり活躍しました。
しかし、国鉄がJR化するとJR東海は利便性向上を図り名鉄との競争が激化すると、さすがに吊り掛け駆動の旧型車3400系ではサービス面で劣ると判断され、淘汰が開始されます。
しかしながら、名鉄発展の象徴として、1編成だけ登場時と同様2両に短縮し、犬山地区の各支線用として動態保存されることとなりました。
1992年には長年運用された鉄道車両に贈られる「エバーグリーン賞」を受賞し、それを記念して落成当初の塗装に復元されたのがこの復刻旧塗装です。
この車両は2002年までこの姿で現役を続け、惜しまれつつ引退いたしました。
足掛け65年にわたり名鉄の路線を駆けたことになります。
名鉄「いもむし」の最晩年時の姿をBトレで眺めながら、戦火や数々の改造を経て21世紀まで受け継がれたこの美しい車体がたどった歴史に思いを馳せたいと思います。
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