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北京ではオリンピックが開幕しました。
ウインタースポーツにはあまり興味はないのですが、始まっちゃうと見てしまいますね。
冬の五輪は夏に比べてパワー系の競技が少ないせいか、関西弁で言うところの「シュッとした」イメージがします。
この「シュッとした」という言葉は、洗練された、とか垢ぬけた、といった意味がありますが、関西以外の方には伝わりづらいのかもしれません。
関西のおばちゃんビューティフルマダム達が、長身ハンサムでスタイルの良い若い男性を捕まえて言う「兄ちゃん、えらいシュッとしてるやないの。」が最もポピュラーな使用方法です。
あれ、なんでこんな話になったのでしょうか。ちょっと横道に逸れすぎました。
本日のご紹介は、「シュッとしている」と言ってよいのでしょうか?こちらのパワー自慢の車両のBトレインショーティーでございます。西武鉄道 E851形電気機関車 新塗装 です。
鉄道ファンを除けば、西武鉄道が電気機関車を所有していたことをご存じない方も多いのではないでしょうか。
このE851形電気機関車は1969年に登場し、動軸が6軸ある大型機で、国鉄・JRの規格で行くと「F形」と呼ばれるコンテナ貨物牽引機の主力とほぼ同じ大きさでした。
私鉄で貨物を扱う会社は珍しくないですが、だいたいが動軸4軸のタイプで、ここまでの大型機を有した事例は他にはありません。
何故、貨物専用鉄道でもない西武鉄道がここまでの大型機を保有したのでしょうか。
このE851形電気機関車は、西武秩父線の開業に合わせて新製されました。
この車両の主な役割は、秩父盆地の南に位置する武甲山で産出される石灰岩を原料として操業していた西武秩父線の横瀬駅近傍にある三菱鉱業セメント(現:三菱マテリアル)からのセメント輸送を行うことでした。
工場内に引き込み線を引き、そこから国分寺駅や池袋駅までセメントを運んでいたそうです。
輸送コスト削減の観点から、この車両の設計思想として1列車でできるだけたくさんの量を運ぶことが求められました。
また、この貨物の運行には西武秩父線が勾配区間が多かったことによる牽引力と、電車運行の間合いでセメント輸送を実行するため、ダイヤグラムを乱さないような高速運転性能も、と非常にハードルの高い要求がありました。
こうして、2軸のBトレでは分かりにくいですが、私鉄が所有するのに似つかわしくない6軸の大型電気機関車が誕生することとなりました。
基本的な性能や設計思想は、当時の国鉄型の最新型電気機関車であったEF65形やEF81形をお手本として製作されています。
国鉄機と見紛うようないでたちですが、私鉄っぽさが現われているところは、派手目のカラーリングとサイドの丸窓くらいでしょうか。
新塗装、とありますが、旧塗装はクリーム色の帯がわずか色が薄い程度の違いのみで、判別はつけにくいかと思います。
実際にはセメント専用の貨車を牽引していたそうですが、さすがにそこまではBトレ製品化がされていませんでしたので、黒タキで代用しています。
このセメント輸送は、後年道路整備によりトラック輸送に軸足を移していき、1973をピークに減少の一途を辿りました。
90年代に入ると経年したE851形の老朽化が問題となり、セメント輸送の廃止が決定されました。
1996年5月に、JRから12系客車を借り受け、唯一の旅客運用によるさよなら運転が行われました。
西武のみならず私鉄電気機関車の白眉ともいえるE851形。
後にも先にも唯一無二の私鉄大型電気機関車の姿をBトレでご堪能いただければ幸いです。
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